中国のレアアース価格は11月中旬から、供給引き締めに伴って上昇に転じているが、川下にある永久磁石メーカーは、価格底打ちに対する判断に慎重だ。中国証券網が伝えた。
百川資訊網によると、11月初めからこれまでに、酸化プラセオジム・ネオジム、酸化ジスプロシウム、酸化テルビウム、酸化ユウロピウムなどは軒並み大幅に値上がりした。中でも、酸化ジスプロシウムは11月初めの1トン230万元から前週末時点で1トン350万元に達した。酸化プラセオジム・ネオジム、酸化ジスプロシウム・鉄の価格上昇幅も30%を超えた。また、希少品種のうち、酸化テルビウムの価格は22%高の1トン550万元、酸化ユウロピウムは25%高の1トン750万元に達した。
記者が取材で把握したところによれば、今回の上昇相場は11月のマクロ経済データが上向いた上に、レアアース企業が生産制限や相場維持を行ったことが背景にある。今回の相場が続いていくかどうかは、この価格反発が川下企業の在庫補充時期である2013年第1四半期まで続くかどうかによって決まる。
レアアースが軒並み反発したのはレアアース企業の生産制限が理由であるため、レアアースの川下産業の需要回復はまだ時間がかかる。
調べでは、レアアースの主要応用分野は永久磁石、合金、触媒などで、中でも、永久磁石と合金は最大のレアアース消費産業だ。世界の2011年のレアアース消費量は11.8万トンだった。現在、中国のレアアース生産能力は9万~10万トンを維持している。レアアースのうち、ネオジム、ユウロピウム、テルビウム、ジスプロシウム、イットリウムは供給が不足し、また中重レアアースは構造的な供給不足に直面しており、レアアース市場価格安定メカニズムに影響を及ぼしている。
正海磁材の関係者は記者に対し、「わが社の原材料の77%はレアアースによるものだ。ただ、その需要はいまなお改善していない」と語った。現在のレアアース相場の持ち直しに対して「価格が底を打ったかどうかは判断できない」と語り、慎重な見方を示した。また、LED電灯用レアアース発光素材を製造する科恒実業は、原材料の80%をレアアースでまかなっている。ただ、同社の受注はまだ回復していない。
永久磁石産業の川下にある風力発電企業が経営難に直面し、海外需要も低下していることは、レアアースの川下需要が大幅に改善していないことを示している。
YAHOOニュース より抜粋