レアアースの不正採掘、江西省カン州市で一斉取り締まり 供給過剰抑制へ―中国

レアアースの不正採掘、江西省カン州市で一斉取り締まり 供給過剰抑制へ―中国

江西省カン(章+貢の旧字)州市鉱管局はこのほど大規模な査察を行い、現地不正鉱山の全面的な取り締まりを実施した。「今年は、カン州が封鎖・封印しただけで、多くの分離工場が生産中止に追い込まれた。これは鉱山への封鎖・封印で付随する工場が稼動できなくなったからだ」と当地の事情通は説明した。第一財経日報が伝えた。


カン州市鉱管局市場秩序整理整頓事務室の当局者は、「確かにこれらの対策でカン州のレアアース業界の秩序を正す計画があった」と証言したが、詳細についてはコメントを控えた。

国家は年度レアアース採掘指令計画で採掘量を企業に割り当てている。昨年度の第2回指標割当てでは、江西省のレアアース鉱産物4500トン、精錬・分離製品4050トン(上半期の留保指標100トンを含む)のほぼすべてをカン州企業に与えた。

だが、指令計画は正規企業に限られたものであり、乱掘、盗掘は適用対象外だ。工業情報化省レアアース事務局の賈銀松主任は、「精錬分離技術の進歩は確かだが、規制体制が不健全だ」と直言する。同氏は、「ここ数年、発展の見返りとしての資源破壊が深刻であり、南部ではイオン吸着型レアアースの含有量が10数%に過ぎないにも拘らず、乱掘の結果、生態系のひどい破壊を招いた」とかつて指摘している。

カン州レアアース協会の権威筋は、「レアアースの価格の値上がり値下がりを問わず、不正規鉱山は簡単に市場をみつけている」と指摘し、「現在、価格が安い不正規鉱山の製品が出回り、レアアース相場が乱れている。これらの不正規鉱山の存在自体が正規企業にとって不利益だ」との見解を示した。

根本からレアアース資源を守るために、工業情報化化省は年初から2回のレアアース業界整頓会議を開き、乱掘・盗掘の取り締まりに軸足をおくことにした。今後は、レアアース整頓を無断生産能力の取り締まりに集中する。つまり、レアアースインボイスを使わず、レアアース指令計画に沿わない生産能力を情け容赦なく取り締まるということだ。

内モンゴル包頭市は、同様の取り締まりを行っている。以前に比べ、市場では不正規企業の鉱石が少なくなった。包頭市のレアアース企業の経営者は6月20日、「当局の持続的な抜き打ちの取り締まりとレアアース相場低迷を背景に、不正規企業の生き残りは難しくなっている」と明かした。

だが、業界関係者は、「取り締まりの強化だけでは根絶できない」とし、「根絶できない原因は不正規企業群のチェーン未解消にある。当局が規制を少しでも緩めれば、乱掘・盗掘が再び台頭しかねない」と懸念する。

包鋼稀土の統合によって基本的に取り締まりが出来ている包頭市とは違い、南部はまったく別世界だ。「レアアース鉱山は一般的に人里離れた山奥にあり、道が狭く、何10キロメートルも離れた場所を毎日監視することはほぼ不可能だ」と業界関係者はいう。

不正規企業のチェーンには、精鉱、炭酸レアアース、分離の3工程がある。だが、取り締まりは鉱山採掘(精鉱の基盤)にとどまるが、実際には、分離工程がカギとなる。業界には、「分離が行われなければ製品化できない。分離能力をもつ企業のほとんどは小規模企業ではなく、その需要が途絶えない限り、不正規企業による供給で賄われることになる」との認識がある。

百川資訊のレアアースアナリストの杜帥兵氏は、「カン州の取り締まりはレアアース業界に影響を及ぼす」とみており、「中間業者は、出荷を控えながら様子見をしている。レアアース価格は必ず値上がりする」と予断した。

百川資訊によると、「レアアース価格は年初から一直線で下落し、レアメタルプラセオジム、ネオジム価格は1月3日には1トン40万元だったものの、6月18日には32万元前後に落ち、その酸化物価格は半年で約5万元下がった」という。

理論上、取り締まりは価格上昇を促すが、レアアース市場は供給過剰局面が長く続く。カン州レアアース協会の権威筋は、「一回の取り締まりだけで万全の効果は期待できず、これを持続する行動が不可欠だ」とみている。

続落するレアアース価格はすでに多くの中国企業のコストラインを割り込んでいる。「いまの市場価格で推計すると、多くの企業は赤字経営に陥っているはずだ。だが、稼動は続けなければならない。指令計画が割り当てられている以上、稼動中止は許されない」と同氏は指摘する。取り締まりの影響により、レアアース価格はすでに小幅に上昇し始めている。                                                   YAHOOニュース より抜粋