三菱マテリアルは18日、レアアース磁石から高効率にレアアースを回収精製する技術を開発したと発表した。乾式処理と湿式処理を組み合わせたプロセスで、従来よりも回収の省工程化が図れる。大幅な増加が見込まれるレアアース磁石のリサイクル需要に対応するため、今後はパイロット試験を実施し、将来的な事業化を検討していく考え。
今回開発したのは、廃家電から回収されるモーター内のローター(回転子)から高効率にレアアースを回収精製できる技術。これまでのプロセスではローターから磁石を取り出すためにローターを加熱して磁力を消滅させる「消磁作業」が必要だったが、新技術ではローターのままで処理が可能。乾式処理でフラックスとしてケイ酸ソーダを用いることで大気中でも鉄合金が酸化することなく、レアアースと鉄をほぼ完全に分離することができる。また、レアアース含有スラグは水に溶けやすいため、湿式工程でレアアースの全量を濃縮して回収することが可能となった。
同社ではこれまでも廃家電からのレアアース磁石の回収を一部工場で行い、磁石合金メーカーでそのレアアース磁石がリサイクルされているが、新技術により、磁石合金メーカーに付加価値の高い「レアアース」として提供できることになる。
小型化・省エネルギー化が進む家電製品では、レアアース磁石を使った高性能、高効率のモーター搭載比率が上昇している。自動車分野でもレアアース磁石を使った大型モーターが搭載されたハイブリッド自動車などの普及が進んでおり、今後リサイクル需要が大幅に増加すると見込まれる。このため、同社グループの家電リサイクル事業で回収できるレアアース磁石は10年後には年間数十トンまで増加する見込み。
レアアース磁石にはネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、ジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)などが含まれており、特に重希土類元素のDy、Tbは資源の偏在性が高く、採掘量が少ない希少金属であることからレアアース磁石の回収・リサイクルはそうした希少資源の有効活用につながる。
YAHOOニュース より抜粋