中国、レアアース輸出最低 日本の需要急減

中国、レアアース輸出最低 日本の需要急減

中国が戦略資源と位置付けているレアアース(希土類)の輸出量が、今年は1万トン前後と過去10年で最低水準に落ち込み、輸出許可枠の約3万1千トンを大きく下回る見通しとなった。業界関係者が24日明らかにした。最大の輸出先である日本の需要が急減したためで、レアアースを外交カードとして使ってきた中国は資源戦略の転換を迫られそうだ。

レアアースはスマートフォン(多機能携帯電話)などハイテク製品の製造に欠かせない材料だが、日本向けが2011年に前年比で34%減少し、今年はさらに下がる見込みとなった。

10年9月の沖縄県・尖閣諸島付近での中国漁船衝突事件を受け、中国当局が事実上の対日輸出規制を行ったことを教訓に、日本企業はレアアースが不要な製造技術やリサイクル技術を相次いで開発。調達先もオーストラリアなどに拡大し、対中依存度を急速に引き下げた。

中国は世界レアアース市場の90%以上を占めてきた。

中国税関統計によれば今年1~6月のレアアース輸出量は4908トンと前年同期比42・7%の減少。通年では「1万トンをやや下回る可能性」(業界関係者)も指摘されている。通年輸出量は02年の5万9千トンから03年に7万4千トンに増えたのをピークに減少。日本への対抗措置が響いて、11年には前年実績の半分以下の1万8千トンにとどまった。

また、一部のレアアースは供給過多となり、販売価格が半年で3分の1程度に下落したケースもある。中国では日本政府による先月の尖閣国有化への対抗措置として対日輸出規制も議論されたが、実際にはトラブルは報告されていない。

一方、世界貿易機関(WTO)は8月、日米欧からの提訴を受けて中国のレアアース輸出規制問題の調査を始めることを決定している。                                                   YAHOOニュース より抜粋