レアアース業界に、新たな規制の嵐が起こる予兆が見え始めている。権威筋によると、工業・情報化部は、レアアース業界に対する新たな規制案を検討している。「工業・情報化部は5月13日に非公開会議を開催した。レアアース業界の大手企業や管轄部門が出席し、不法採掘と不法経営を取り締まる措置を検討した」という。措置はまだ検討・改定中だが、間もなく打ち出される見込みだという。経済参考報が伝えた。
工業・情報化部は、不法採掘・精錬の取り締まりを強化し、罰則を厳しくするとともに、「精密加工」という看板を掲げて、レアアース精錬・分離と採掘をする不法企業を新たに取り締まり、違法行為を発見すれば直ちに閉鎖させるとしている。また、レアアース企業であれば出すことができるレアアース専用税務インボイスを、レアアース指令性生産計画(工業・情報化部が発表するレアアース生産枠)と結びつけることにより、違法レアアースの「合法化」を阻止する。
非公開会議が取り上げた重要な議題の中に、「レアアース資源税の引き上げ」があることが注目される。レアアース資源の有効な保護を目的に、レアアース資源税の継続引き上げについて、工業・情報化部は出席代表らの意見を聞いた。
財政部、国家税務総局は2011年に、レアアース原鉱資源税を1トン0.50~3.00元(約8~48円)から30~60元(約480円から960円)に引き上げる通知を出した。だが、会議に出席した企業代表は、地域によって資源税の徴収状況が異なっており、原鉱資源税率をレアアース製品に換算すると、広東省では1トン2万5000元(約40万円)、広西自治区では5000元(約8万円)で、江西省カン州市では3万6000元(約57万8000円)だったりと、非常に混乱していると述べた。
「この問題にはまだ議論の余地がある。現在、レアアース資源税が正規企業と不法企業との間に、大きな価格差をもたらしている。厳しい取り締まりがないまま、税率を引き上げると、おそらく正規企業は生き残れず、不法企業が大もうけすることになるだろう」と会議の参加者は述べた。
工業・情報化部は今後、レアアース規制を今までになく厳しくし、環境保護部、税関、国土資源部、商務部などと協力して調査を行い、不法業者がもたらす混乱を一掃する考えである。工業・情報化部の蘇波副部長はレアアース業界会議に出席した際、「今年、国務院関連当局もより厳しい措置をとり、同時に、レアアース専用インボイスモニタリングシステムを実施し、レアアースの不法生産、不法売買を取り締まる。レアアース指令性生産計画の実行を強化し、調査チームによる抜き打ち調査を行う。レアアース企業の生産を監視するシステムを設け、企業の生産台帳とエネルギー消費を監視する。地方政府に対して監督責任を果たさせ、不法企業や不正が発覚した地方には、断固として計画指標を減枠し、責任を厳しく問う」と表明した。
レアアース価格は2010年から急落し、北部大手の包鋼稀土は生産停止を繰り返したが、状況は好転しなかった。さらに懸念されることは、業界の混乱ぶりの深刻さである。乱掘が止まらず、不法業者がはびこり、正規企業の運営が圧迫されている。工業・情報化部は12年に、先頭に立って取り締まり活動を繰り返し行い、14の不法採鉱拠点を取り締まり、選鉱・精錬企業20社を操業停止、生産能力約3万トン分を封鎖した。
「長期にわたって積み上げられてきた問題は、抜本的な解決ができていない」と蘇波副部長は認めた。レアアースの不法採掘、無計画、計画以上の生産、不法売買、密輸などが横行している。表向きは、レアアース指令性生産計画を達成できなかったかのようにしているが、実は、計画外の採掘・生産が行われ、市場の秩序を乱している。このように不法生産されたレアアース製品は、様々なルートを通じて川下の企業に販売され、海外に密輸されている。こうして、レアアースは値下がりし、正規企業は大幅な減収減益に見舞われている。また、精錬・分離・生産能力の過剰が言われる中、閉鎖・操業停止を命じられた企業の中には、監督の目を潜り抜け、他省に移って不法生産を続けているところもある。
YAHOOニュース より抜粋