中国税関総署はこのほど、税関のレアアース密輸取締りで発覚した密輸事件は13件、レアアース製品は799トン、価値は4289万ドルに達したことを明らかにした。2011年の3万トン超のレアアース割当量は半分しか消化されなかったが、割当の対象でないネオジム鉄ボロン磁石が大量に輸出された。世界の多くの企業が割当の抜け道をとおって中国から間接的にレアアースを輸入している。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。
正常なレアアースの輸出ルートが限定されているため、包鋼稀土などの多くのレアアース企業は近年、ネオジム鉄ボロン磁石に多額を投じて輸出を増やしている。また、11年の中国のネオジム磁石使用量を見ても、原料のホウ素と鉄の使用量は4500トンで前年より1000トン多く、各企業の生産量は減ったが、使用量は増えていることがわかる。
この現象について、業界関係者は、割当の抜け道を通って日本企業は中国からネオジム鉄ボロン磁石を大量輸入したと見ている。ネオジム鉄ボロン磁石の含有量の多い希土類元素は割当の対象ではない。「ネオジム鉄ボロン磁石を早急に輸出割当の対象にすべき。でなければ、輸出割当量はあってもなくても同じになる」と指摘する専門家も数多くいる。
レアアース需要の大きい日本は、レアアースの代替技術「脱レアアース」の研究を進めている。日本電産は1月10日、レアアースを使わない次世代モーター「SRモーター」を量産し、電気自動車(EV)やハイブリッド車に採用する方針を発表した。13年に日本の自動車メーカーに供給できる見通し。SRモーターはレアアースを必要とする永久磁石を使わず、電流を切り替えてエンジンを動かすことができるという。
「脱レアアースの量産が実現すれば、中国はレアアースというこの貴重な資源の国際市場での発言権を失うことになる。そのとき、恐らくレアアース価格は再び大幅下落するだろう」と、業界関係者は心配そうに話した。
YAHOOニュース より抜粋