電機メーカーが、レアアース(希土類)を使わない部品の開発を加速している。
三菱電機と日本電産が電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の駆動用モーターを開発。HOYAはHDD(ハードディスク駆動装置)に搭載し情報を記録するガラス基板用の研磨剤で、希土類からの置き換えを進める。希土類は95%以上を産出する中国の輸出規制で価格が高騰しており、代替品によってコスト削減と原料の安定調達につなげる。
三菱電機は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で、希土類を使わないEVやHVの駆動用モーターを開発した。通常は鉄に希土類のネオジムやジスプロシウムを混ぜた永久磁石で駆動させるのに対し、電磁石の原理を応用して酸化鉄などの周囲にコイルを巻き、電気を流すことで駆動力を得る。
加速時など負荷がかかる場合の効率はやや落ちるが、それ以外では既存製品とほぼ同等の性能を発揮できるという。「酸化鉄は入手が簡単で安く、実用化には大きな意味がある」(三菱電機)としており、今後は量産技術の確立に取り組む。
日本電産も希土類を使わないEVやHV用の「SRモーター」を開発、18日から始まったEV関連の展示会に出展した。2013年から供給を始める。TDKもジスプロシウムを使わないモーター用永久磁石を開発し、年末からIT機器向けに供給を始め、自動車向けの実用化も視野に入れる。
一方、HDD用ガラス基板大手のHOYAは、基板を磨いて平らにする研磨剤で、希土類のセリウムから、宝石などに使う化合物のジルコニアに置き換えている。10年6月から始め、代替率は1年半で7割まで高めた。同社では「セリウムは平らにしやすい半面、高すぎる。安定調達も考えて置き換えを進めている」と話す。
希土類をめぐっては、需要拡大に加え、10年7月に中国が資源保護のため輸出枠を減らしたことで価格が高騰。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によると、昨夏以降は下落しているが、種類によっては現在も10年夏比で7~8倍と高い水準にある。JOGMECの廣川満哉・金属企画調査部調査課長は「中国以外からの調達と代替品開発は不可欠」と話す。
希土類の代替品開発は“中国リスク”を減らすため、今後も部品開発に拍車がかかりそうだ。
YAHOOニュース より抜粋